四国の旅を満喫するつもりがいつの間にか津軽を旅していたはなし

June 30, 2024Updated on July 27, 2024

はじめに

理由など特にないですが、雑に旅行記をしたためることにします。

私は定期的に旅に出たい機運が高まることがあるのですが、6月も終盤に差し掛かったころ、例に漏れず旅に出たくなったのでどこに行こうかと考えていました。企画きっぷやお得な切符などの対象区間から旅程を決めることが多いのですが、JR四国が発売している、特定の条件を満たすと特急を含めて3日間乗り放題というなんともありがたい切符を見つけました。この切符を使って愛媛県は伊予市にある下灘駅を訪れ、近くの道後温泉で疲れを癒やし、高知に行って季節外れの鰹を食べようとざっくりした予定を立てていました。

1日目

しかしどこで油を売っていたのか大幅に遅れた梅雨が始まり、よりにもよって元気な梅雨前線が迫っていました。四国方面に行く予定でしたが、梅雨前線が直撃しており雨がひどくなりそうでした。なるべく荷物を少なくしたいのもありできれば旅行中に雨には遭遇したくありません。加えて今回は警報レベルの大雨が予想されており、最悪の場合帰れなくなる可能性もありました。少し考え、行き先を変更することにしました。梅雨前線に襲われていない地域を調べたところ東北地方は無事だったので、青森に行き先を決定しました。結果的に帰りの日のサンライズ瀬戸号は運休になっていたので、この判断は正しかったのだと思いました。(新幹線は無事でしたが混雑はしたでしょうね。)

往路の新幹線の中で旅程を組むことも考えましたが、先に大まかな行き先くらいは決めておこうと、午前中は旅程決めに費やしました。(それが響いて1箇所行けなくなったのですが)驫木駅と不老ふ死温泉には行きたかったため、五能線メインの旅になることを考え弘前駅周辺のホテルだけ予約し出発しました。道中青森出身の友人におすすめの食事処を聞きつつ新幹線で新青森を目指しました。ちょうど新青森駅につく頃におすすめをいくつか教えてもらい、青森駅付近ということで青森駅に向かいました。しかし到着した頃には閉店時間を過ぎてしまっており、青森駅を観察するだけしてすごすごと弘前駅周辺のホテルに退散しました。おすすめを教えてくれた友人から「貝焼き味噌」なるものを強くおすすめされていたので調べてみると、津軽地方の郷土料理らしく居酒屋などでも提供されていることもあるようでした。弘前駅周辺や少し離れた中央弘前駅周辺で入れそうな居酒屋を探しましたが、金曜日の夜だったこともありどこも満席で、結局コンビニ飯で済ませました。残念。

2日目

朝早く出ることで金木駅まで行き斜陽館を見学することもできましたが、昨日のリベンジを果たすべく昼ご飯に貝焼き味噌が食べられるお店を探すことにしました。ちょうどホテルの近くに観光客価格の食堂があったのでそのお店で食べることにしました。ホテルは10時チェックアウトだったのですが、お店は11時開店だったので弘前城を観光することにしました。弘前城には敷地内に植物園もあり、春には満開の桜が立ち並ぶ「桜のトンネル」と呼ばれている散策路など見どころはそれなりにあります。(天守閣は…まぁ、うん。)ゆっくりすべてを回ろうとすると1時間では少し足りませんでしたが、ほどほどに切り上げてお店に向かいます。

団体客の予約が入っていたので隅っこのテーブルで食事をします。目的は貝焼き味噌なので、「貝焼き味噌とけの汁定食」を頼みました。貝焼き味噌とは津軽地方の郷土料理で、ホタテの貝殻を鍋代わりにし、大粒のホタテにを味噌や出汁の効いたつゆで味付けし、卵で閉じて食べる郷土料理です。地域によってはウニやイカなど他の具材を入れるそうです。地酒との相性が良いことは食べずともわかると思いますが、ご飯との相性ももちろん良いです。けの汁とは細かく刻まれた山菜がたくさん入った汁物です。一説では「粥の汁」がなまって「けの汁」となったとされています。貝焼き味噌が美味しかったので隣のお土産屋さんで「貝焼き味噌の素」なるものをお土産に買いました。弘前城からお店に向かうまでに地酒のお店を見つけたのでそこにも足を運びました。結局は杜來という銘柄を選びました。寄り道をしたおかげで時間はギリギリになりましたが、タクシーを拾うことができ無事に目的の電車の出発時刻に間に合うことができました。

ここからは五能線の旅です。最初の目的地は驫木駅です。弘前駅から乗り込む人はまばらでしたが、川部駅からは多くの方が乗車されていました(何かあったんですかね?)。途中の陸奥鶴田駅では「鶴の舞橋」という名所を知りました。事前に知っていれば絶対に行っていましたが、降りたくなる衝動をぐっとこらえて本来の目的地を目指します。次の旅行の楽しみが増えましたね。2時間ほどの車窓を楽しんだ後いよいよ目当ての驫木駅に到着です。今回同業者は1名いらっしゃいました。

驫木駅は青森県は深浦町にある駅です。目の前に日本海を望むロケーションと風情のある小さな木造駅舎が有名な駅です。JRのポスターに採用されたこともある駅なので、見たことがある方ももしかしたらいるかもしれません。降り立ったそこには道しかなく、少し遠くにぼんやり見える驫木漁港のお陰でようやく人の生活を感じられるほどでした。一応15分ほど歩くと集落はあるので、人の生活から断絶された駅というわけではなさそうです。驫木駅は日本海に沈む美しい夕焼けが見られることで有名です。ホームには夕焼け暦と夕日時計もあるほどです。ぜひ夕日を見に再訪したいと思える駅でした。余談ですが、「驫」という字は日本に存在する駅名に採用されている漢字の中で最も画数が多いそうです。

次に目指したのは千畳敷駅でした。弘前行の便に乗り3駅です。驫木駅で一緒に降りた同業者の方とも同じ行程となりました。のんびりと眺めているうちにリゾートしらかみが到着し、ホームと海岸はつかの間の賑やかさを得ます。その乗客に紛れながら、発車3分前の警笛に急かされるように乗り込みます。海側の席は埋まっていましたが、反対の窓側席を予約することができました。海側の席に座れなかったのは少し残念でしたが、展望ラウンジやデッキなどから海岸沿いの景色を楽めます。山側の席も常に切り立った壁かというと全くそんなことはなく、白神山地の自然の風景を楽しむことができました。また、ラウンジスペースにある売店は廃止されていましたが、車内には無人販売所があり、飲み物や軽食など、青森や秋田の名産品を購入することができます。

せっかくなのでリゾートしらかみを秋田駅まで乗り通した後で東能代駅まで戻る予定でしたが、携帯のバッテリーが無くなりそうだったこと、タクシーを確実に呼べる保証がない中で最悪ホテルまで見知らぬ道を真っ暗な中徒歩で40分歩かなければならないことを思い東能代駅で下車することにしました。明日の行程もありましたからね。晩ごはんですが、この日も当然予約などしていなかったので、20分ほどどこの居酒屋にも入れず彷徨ったあとチェーン店に入るならとホテルのレストランで晩ごはんにしました。

3日目

目的地は不老ふ死温泉です。最寄り駅から徒歩14分ほどの好立地ですね!

物理的な最寄り駅から1駅離れたウェスパ椿山駅からは送迎のバスがあるのですが、物理的な最寄り駅である艫作駅で降りて歩いて向かうことにしました。こちらでも同業者の方が1名いらっしゃいました。艫作駅から不老ふ死温泉へ向かう道中には五能線全通記念碑や艫作崎灯台があります。また海岸沿いにあるので景色が素晴らしく、下り坂になっていた道中上から見下ろす海の景色はとても良いものでした。これだけでも訪れた甲斐があるというものです。

不老ふ死温泉には新館と休館の2つがあり、露天風呂合わせた浴場は少し特殊な作りになっていました。それぞれに室内浴場があるのですが、目玉の露天風呂はそれらとは直接繋がっておらず、2つの室内浴場のどちらかで掛け湯をしてから一度服を着て、露天風呂に入りにいくという流れになっています。露天風呂は旧館の室内浴場の隣にあるので移動は楽です。施設の入り口にある看板にも日帰り入浴の場合は旧館に向かうよう案内があるので、日帰りで訪れようと思う方には旧館をおすすめします。新館の方は露天風呂と同じ景色を少し高い位置から見れるような作りになってはいるのですが、利用できる時間が旧館よりも1時間ほど遅いので、時間には気をつけてください。

艫作駅から温泉に向かうまでは日差しが溶射なく照りつけていたのですが、露天風呂に入っているときだけ曇ってしまいました。運がないですねぇ…。言うまでもないことですが入浴エリア内はカメラの持ち込みは禁止だったので写真はないです(あってもここには載せないと思いますけど)。不老ふ死温泉の絶景は写真では伝えられないのでぜひ実際に行ってみることをおすすめします。不老ふ死温泉の露天風呂は夕暮れ時が一番の見どころです。この時間帯は日帰り客は利用することができず宿泊客限定となるので、露天風呂を目当てに行こうと思った方には宿泊することをおすすめしておきます。

温泉の後は昼食にしました。不老ふ死温泉が位置するこの深浦町はマグロで有名な地でもあります。マグロといえば多くの人は大間を思い浮かべるかも知れませんが、マグロが日本海を回遊する順に深浦、三厩、そして大間の3つの地域がマグロ漁の盛んな地域であるようで、三大マグロと呼ぶこともあるそうです。中でも深浦は他の地域よりも早い時期に漁が始まるため、6月の旅行でも旬を迎えたばかりのマグロを食べることができました。この地域ではマグロステーキ丼が有名とのことでいただきました。ここ不老ふ死温泉で提供されているマグロステーキ丼では片面/両面で焼き分けて食べることがおすすめされていたのでそれに倣います。個人的には刺し身だけではなく、焼いて食べるのも美味しいと思いました。

マグロを堪能したあとは帰路につくべく五能線で川部駅まで戻ってきました。田んぼアートの最寄り駅(厳密に言うと弘南鉄道の駅のほうが近いですが)だったので時間に余裕があればぜひ行ってみたかったです。川部駅ではツアーの団体様と遭遇しました。少しだけ嫌な予感がしつつも帰りの新幹線を予約すべくえきねっとを開きます。幸運にも予感は外れていて、団体の皆様は今日はホテルで宿泊するご様子でした。ですが、乗車20分前に取ったとはいえ新幹線の座席はほぼ埋まっていました。最初からグランクラスにするつもりでしたが、普通車の席がほぼすべて埋まっていたため新青森駅からの帰りの新幹線はグランクラスを利用しました。直前に予約したとはいえ少しだけ意外でした。

おわりに

いい感じの文言は思い浮かばないのでここで唐突に筆を置きます。この旅程をそのまま参考にする人はいないと思いますが、五能線を満喫する際にはこれらのスポットはおすすめです。